職員向けサービス
住民の 自立を促す会話術

行政や社会福祉協議会など自治体関連の職員の中には「住人のために尽くしたい」という気持ちから住民の要望や依頼を引き受けた結果、負担が増え続けるケースが見られます。そこで、住民と信頼関係をつくり、住民に自立して動いてもらうコミュニケーションスキルを学ぶプログラムを提供しています。
《プログラムの目的と構成》
住民の要望をすべて引き受けることなく、自立行動を促す働きかけ方を学びます。
以下のようなケースを作成し、それに基づきグループ討議とロールプレイを実施します。
【ケーススタディ】地域の課題を解決するために、住民グループが立ち上がりました。運営が軌道になるまでというつもりで、会議の運営や議事録の作成を行っていた自治体職員のEさんでしたが、いつのまにかEさんがやることが当たり前のような雰囲気になっていました。そこで、自治体(Eさん)はあくまで支援者であることを説明し、自主運営に移行することを住民に提案しました。話を理解した住民グループでしたが、いざはじめてみると実際に動ける人材がおらず、活動が停滞しています。困ったリーダーの住民が相談にきて「このままではうまくいきません。助けてください」というのです。そういわれると、手伝わなければと思う職員のEさんですが、ここでは何とか住民リーダーのやる気を引き出し、住民主体の活動が動き出すよう、リーダーと話しあう必要があります。
◆住民が依存的になる原因(1時間)
・原因をグループで話し合う
・職員側の「良かれと思って引き受ける」考え方が依存を加速させることを解説し、住民と向き合うときの職員の心構えについて解説
◆ロールプレイ(1~2時間)
・すぐに引き受けることなく、住民のやる気を引き出す話し方を学ぶ(解説)
・3人一組でロールプレイを実施。実践から学ぶ
導入事例
東村山市社会福祉協議会

東村山市社協
イメージキャラクター
ぽんたくん
地域包括支援センター 第2層コーディネータ―を中心に市の職員も含めて21名が参加
上記のケースと構成で2時間のワークショップを開催しました。
<参加者の感想>
•市民が依存しているのではなく、その状態を創り出している関わり方を(自分たちが)していること
に気づいた
•自分も住民も対等で、活動の目的を意識して仕事を取捨選択することを心掛ける
•住民の「~してください」に応えようとするのではなく、目的を確認しつつ一緒に答えを探す
•まず関係づくり(傾聴)が重要であることを学んだ(すぐ本題に入り、解決策を助言しようとしてい
た自分がいる)
•市民の努力を褒める、ねぎらうことが大事
•活動目的の再確認を一緒に行うことで、動機付けにつながるのだと学ぶことができた。その場で答えがでなくても、相談者の考えるきっかけになると感じた。
•思いを聴いた上でのアイデア出しは、コーディネーターからの意見よりも、住民の言葉で引き出した
方がより主体性を引き出せる
•コーディネーターを頼りたいという思いが強いときの対応の難しさを感じた
インタビュー
東村山市社会福祉協議会

東村山市社協
イメージキャラクター
ぽんたくん
福祉に参加する市民の幅を広げ、助け合うまちをつくるために
~職員研修から市民のためのキャリアセミナーまでの歩み~
東村山市社会福祉協議会は2024年8月から約2年半にわたり、当社の研修を継続的に実施していただいています。企画した清水さんと中島さんにお話しをうかがいました。
―当社の研修を取り入れていただいたきっかけは?
清水さん:社会福祉協議会北多摩北部ブロックの研修会に参加した際、岩﨑さんが「市民のためのキャリアセミナー」について紹介していて「あなたのキャリアを考えよう」という呼びかけで市民を募り、セミナーの中で「越境学習」として福祉団体でのボランティアをお薦めする、という手法に興味を持ちました。社協の活動に市民を募集しても参加者のすそ野が広がらない点が悩みでしたので、いつか「福祉での越境学習付キャリアセミナー」をやれたたらいいなと思いました。
―しかし、最初の研修は職員向けのコミュニケーションがテーマでしたね。
清水さん:2024年に私は第1層生活支援コーディネーター専任になりました。第1層生活支援コーディネーターは高齢者が住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けられるよう、市全域を対象に支え合いの仕組みづくり等を行っています。そこで市の財源も使えることになり市と研修の実施を検討し始めました。当時、地区ごとに担当を決めて活動する第2層生活支援コーディネーターが市民活動団体と参加を希望する市民をマッチングするイベントをやっていたのですが、活動の担い手が集まらないという課題がありました。そこにキャリアセミナーを適用したかったのですが、市と話し合ってまずは職員のスキルアップから始めることになりました。
―テーマは「市民の自立を促す会話術」でした。
清水さん:高齢者の活動団体では、意見をまとめたり、資料をつくったりという実務を担える人が限られていて、自然と社協職員を頼る傾向にありました。社協も「市民の役に立ちたい」という思いから頼まれると引き受ける、という傾向にありました。そのため、職員は仕事が多く疲弊気味になりがちです。
―そこで「皆さんが良かれと思って市民の依頼を引き受けることで、益々市民が依存的になり、社協職員の仕事が増えていく」現実に向き合っていただきました。市民の力で運営できるように自立を促すには、どう話すかという会話術を学びました。
清水さん:市民が依存しているのではなく、自分達がその状態を創り出していることが衝撃でした。ロールプレイを実施した結果、すぐに話の本題に入って提案するなど、職員側が市民へのねぎらいや承認する場面が少ないことも気づきでした。
―秋には、問題山積で多忙を極める第2層コーディネーターに、立ち止まって「チームで問題解決」する手法を共通言語として学んでいただきました。
清水さん:グループに分かれて問題を出し合い、論理的に整理し、主要な課題3点を選び、解決策まで考えました。全体で問題を整理し、その原因を考えたことで、所属する組織によって分かれがちな第2層コーディネーター、市の担当者、第1層コーディネーターも含めてひとつの方向を向けたという点で意義があったと思います。結束力というか距離が近くなったと思います。
中島さん:この研修以降、第2層の皆さんは会議の中でも課題を整理して提示するようになっていきました。みんな習ったことを使っていることはすごいと思います。
―そして、2025年も引き続きコミュニケーション研修に取り組みました。
清水さん:第2層コーディネーターの悩みとして、介護予防サービスを利用し始めた高齢者は、デイサービスに通うことで満足するようになり、社会参加の機会を失い、ご自身の世界が狭まってしまう方が大勢います。そのことが介護状態を進める原因になっている現状があります。無理を強いるわけではありませんが、無意識にあきらめたり、本当は楽しめる機会を失っていたりすることもあるように思い、コーチングのスキルを学んで、高齢者が自ら行動するような話し方を学ぶことにしました。
―この研修でも、前年同様参加者が共感しやすい、リアルなケーススタディつくったことがポイントの一つだったと思います。1回目は「サロンや健康づくりの活動などへの参加を辞めたい」という市民に対して、いかに動機づけるか?第2回目はせっかく参加してくれた市民がすぐに辞めてしまう背景には、受け入れ団体側の配慮やコミュニケーションの不足といった問題があることにも着目し、受け入れ団体側に問題を提起し、一緒に改善していくためのコーチングというケースをつくって挑戦してもらいました。
清水さん:録音して自分の話し方を聴く経験はインパクトがありました。また、同僚の話し方を聴いて、「こんな話し方をするんだ!」とその人について新たな発見があったことも新鮮でした。
中島さん:我々は専門性が求められる職場であり、専門知識についての研修はたくさんあるのですが、ロールプレイをするなど、実践的なコミュニケーション研修は初めてでした。まさに今この問題を抱えている、という仲間が何人かいましたので、すぐに役に立ったと思います。
―そして2026年1月から9月にかけて「市民のためのキャリアセミナー」を開催することになりました。
清水さん:社協の自主事業として企画し、越境学習に行った市民のフォローアップをするまちづくり支援係の職員を対象に、マッチング(越境学習に行った)後のフォローアップをどう行うかを岩﨑さんに研修してもらいました。その研修費用を東京ボランティア・市民活動センターの「中間支援組織スタッフのための支援力アップ事業助成金」を活用しました。キャリアセミナーそのものに使える助成金が見つからず、自主財源との組み合わせで予算を確保しました。
―予算を考えていただき、ありがとうございます。やってみてどうでしたか?
清水さん:社協が募集するイベントでは巡り合えないような市民と出会うことができました。広報の仕方に課題があり、参加者は少なかったのですが、市報に載せたことで普段社協や福祉には縁がない市民に参加いただくことができました。
―越境学習に行った人はどうなっていますか?
清水さん:市内で介護予防の活動をしている団体は、高齢化が進み担い手がいないという課題がありました。広報に力を入れる必要がありましたが、ちょうど編集やデジタル領域が得意なキャリアセミナー参加者がいて、越境学習(ボランティア)にいってもらうことになりました。最初はどうなるかと思っていましたが、複数回参加し、今後も続けるようです。
中島さん:受け入れ側も年代も個性も異なるボランティアさんが参加して、一緒に広報を考える経験をへて勇気がでてきたようです。
―社協が「市民のためのキャリアセミナー」を開催する意義はありましたか?
清水さん:我々は一般企業に勤めたことがなく、福祉に接点がない人を誘いたくてもどうしたらよいかわかりませんでした。しかし、今回ひとつの方法としてブレイクできた気がします。
中島さん:コミュニケーションスキルは、繰り返し練習しないと定着までいかないかもしれません。新人からベテランまで一同に会して参加しましたが、若手には少し難しかった面もあり、今後の課題です。
―最後に、今後の抱負をお聞かせください。
中島さん:地域包括支援センターから色々な情報を出すことで 、高齢者と家族が自分らしく元気で過ごせるよう支援していきたい。自分や周囲の気持ちを大事にする人を増やしていきたいです。
清水さん:福祉に関心がある人が減っているように思います。どうしたらこの領域に関心をもってもらえるのか、何と呼び掛ければ呼応してくれるのか、市民と地域のつながりを増やす方法を考えていきたいと思っています。
―2024年からやってきた「市民の自立を促す会話術」や「市民の社会参加を促す会話術」といったコミュニケーションスキルは、そのままキャリアセミナーに参加して福祉ボランティアで越境学習している市民をフォローする面談で活用できます。キャリアセミナーで市民のすそ野を広げ、継続できるように支援するという展開は、皆さんの目標を叶えることに繋がりました。これからも東村山市社協のまちづくりに注目していきたいと思います。


たくさんの気づきや学びが共有されました
[左]基幹型地域包括支援センター [右]まちづくり支援係
看護師・保健師・介護支援専門員 係長
中島 文亜さん 清水 友里さん
職員向けサービス
まちづくりファシリテーション

住民参加の協議会やワークショップの運営は、参加者の多様性から容易ではありません。相手の立場や考え方を尊重し聴きあい、信頼関係を高めながら合理的にまとめて結論をだしていく。その必要性は増しています。成熟したコミュニティをつくるために、職員をファシリテーターに育て、話し合いの作法を共有する試みを提案しています。
《プログラムの目的と構成》
誰もが参加しやすい場をつくり、多様な意見を受け止め整理して、納得が得やすい結論を導くファシリテーションスキルを学びます。以下の3つの要素をメインに、実際に話し合いをしながらファシリテーションのポイントを学びます。
★日数や時間はご相談で決めていきます。
★職員向けだけでなく住民向けの講座としても有効です。

1 話しやすい場をつくる
ファシリテーターは自分の発言より、他者を活かすことに注力します。そのために、参加者の話を引き出し、耳を傾け、受け止めたり盛り上げたりして場づくりをすることを学びます。

2 議論を深め、まとめる
発言を板書し、類型化した上でどのような議論になっているか、構造化して参加者に示します。意見が偏っていないか、客観的に考えてもらいます。そして、できるだけ多くの人の納得度が高い結論を出すように努めます。

3 ファシリテーターとしての心構えとテクニック
ファシリテーターは参加者の議論を「促す人」であるという認識を持ち、人々と場に意識を向けます。目的と時間管理を忘れず、自分の行動にも目を向けます。ポストイットやアイスブレークゲームなど場づくりのコツを学びます。
導入事例
K市社会福祉協議会
地域活動・ボランティアセンターには多くの市民活動団体が参加していますが、お互いの交流の場がなく、また団体によっては、話し合いがうまくいかない、会員が集まらないといった悩みがありました。そこで、団体同士の交流を図ることと、市のリーダーを育成する目的でファシリテーション講座を開催しました。
講座には社協や市の職員も参加しました。


K市では、2020年から2年間、活動団体のリーダーに対してファシリテーション講座を開催しました。
ファシリテーターは組織に複数の理解者がいるとより、うまくスキル活用ができるだけでなく、参加者側にもファシリテーションの学びが提供できます。継続してファシリテーションの普及に取り組む視座も大切です。
